相続不動産に関する固定資産税はどう税務処理するの?

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アパートや貸家など賃貸不動産を相続した場合、相続人が確定申告をすることとなります。

相続人が確定申告をする場合、初年度は少しややこしい取り扱いがいくつかあります。

その一つが、賃貸不動産に関する固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税)の経費処理です。

固定資産税は誰が納税義務があるのか

税金がかかるかどうかは賦課期日という日で判断されますが、固定資産税の賦課期日は1月1日とされています。

1月1日に所有している人がその年の固定資産税を納税する義務があるわけです。

自宅やマンションを購入したことや売却したことがある人は記憶にあるでしょう。固定資産税を精算するという手続きを不動産屋さんがすることに慣習上なっていますはずです。

地域によって異なるようですが、例えば8月末に売買を行った場合、8月までの固定資産税は売主負担、9月以降は買主負担とすることが多いようです。1月1日現在の所有者に納税通知書が郵送されてきますから、支払義務があるのは売主です。

売主が1年分を支払って、期間に応じて固定資産税の精算を行うのが一般的です。

もちろん、これは取引慣習でしかないため、税務上の扱いは売買価格の一部とされています。

相続税での固定資産税の処理

相続税の計算では、未納公租公課は債務控除の対象となります。したがって、相続財産から控除できる債務ということになります。

この未納の判断はやはり賦課期日での判定です。1月1日現在ですが、元旦に亡くなった場合にはやはり控除の対象になると思います。ただし明文規定等はなく、時間の概念もないのですが、有利に判断してよいのではないでしょうか。

住民税も同じく1月1日現在の判定ですが、1月1日に亡くなった方は課税される1月2日に亡くなった方からは1年分かかるようです。

確定申告での固定資産税の処理

事業用不動産、賃貸不動産を相続した場合に判断に迷うのが、固定資産税を亡くなった方の準確定申告での必要経費にするか、相続した方の確定申告で経費にするのかという問題です。

この場合、この不動産にかかる固定資産税を1月1日時点の所有者、つまり亡くなった被相続人の必要経費と考えるのは間違いです。

この取り扱いについては国税庁が決めた通達(所基通37-6)があります。

考え方としては被相続人の準確定申告で必要経費とする固定資産税の取り扱いが定められています。それ以外は、引き継いだ相続人の確定申告での必要経費となるのです。

ケース1:相続開始前に納税通知があった場合

だいたい4月か5月くらいに納税通知書が届きますから、それ以後に亡くなった場合には次のいずれかを選択して必要経費に算入します。

  1. 全額(年額)
  2. 納期到来分(4期分納のうちの納期限が経過した分-納付済かどうかにかかわらず)
  3. 納付済分(4期分納の期限に関わらず生前に納付した金額)

ケース2:相続開始後に納税通知があった場合

相続開始時点では、納付すべきことが具体的に確定していないため、被相続人の必要経費に算入できない。つまり、相続人の確定申告で経費にすることになります。

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