大学など公益法人に寄付をしたときの確定申告の取り扱い

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海外の大学に寄付をしたら

かなり前ですが、アメリカに財産をお持ちの方の相続税の申告を行ったことがあります。

先日、未亡人である奥様にお会いしたのですが、ご主人のご意思で遺産のうちからアメリカの大学に寄付を行ったときのお話を伺いました。

寄付した後で、大学から卒業式の式典への招待状が届いたとのことで、駐車スペースをあけておくからお越し下さい…という話だったようです。

なんともアメリカっぽいエピソードですが、日本にいる人にアメリカまで車で来いっていう話で、まあ感謝の気持ちということでご招待という話なのでしょう。

ただ、海外の大学に寄付をしたとしても日本の所得税について寄付金控除はありません。

国内の大学など、公益法人に寄付をしたら

さて、国内の大学、学校法人に対して寄付をした場合にはどのように扱うのでしょうか?

国税庁のHPによると

平成23年以後に個人が支払った特定寄附金(注1)のうち、次の(1)から(4)までに掲げる法人及び平成28年以降の(5)に掲げる法人等(以下「公益社団法人等」(注2)といいます。)に対するもので一定の要件を満たすものについては、支払った年分の所得控除として寄附金控除の適用を受けるか、又は次の算式で計算した金額(その年分の所得税額の25%相当額を限度とします。)について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができます。

(1) 公益社団法人及び公益財団法人
(2) 私立学校法第3条に規定する学校法人及び同法64条第4項の規定により設立された法人
(3) 社会福祉法人
(4) 更生保護法人
(5) 国立大学法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構又は独立行政法人日本学生機構(注3)

特別控除額の計算 (その年中に支払った公益社団法人等に対する一定の要件をmに足す寄附金の額の合計額)(注4)-2千円(注4)X40%=公益社団法人等寄附金特別控除額(注5)(100円未満の端数切捨て)

(注1) 「特定寄附金」とは、国、地方公共団体に対する寄附金のほか、例えば、次に掲げる寄附金です。
ただし、学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものなどは、特定寄附金に該当しません。

丸1 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして、財務大臣が指定したもの

イ 広く一般に募集されること
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること

丸2 所得税法別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法施行令第217条で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(国、地方公共団体に対する寄附金及び丸1に該当するものを除きます。)

なお、所得税法施行令第217条で定めるものとは、例えば、次の法人をいいます。

イ 公益社団法人及び公益財団法人
ロ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
ハ 社会福祉法人
ニ 更生保護法人

(注2) 「公益社団法人等」とは、上記(1)から(5)に掲げる法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であること並びに市民から支援を受けていることにつき一定の要件を満たす法人をいいます。

(注3) 学生等に対する修学支援のための事業に充てられることが確実である寄附金が対象です。

(注4) 「その年中に支払った公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額」については、その年分の総所得金額等の40%相当額が限度とされます。
また、この控除対象寄附金額(総所得金額の40%相当額)及び控除対象下限額(2,000円)は、寄附金控除(所得控除)の対象となる寄附金の額がある場合には、この寄附金の額の合計額を控除した残額とされます。

(注5) 税額控除限度額(所得税の25%相当額)は、認定NPO法人寄附金特別控除の額と合わせて判定します。
なお、政党等寄附金特別控除の税額控除限度額は、これとは別枠で判定します。

学校法人である私立大学や国立大学法人など国公立大学については基本的にこの取り扱いになります。国公立でも大学は特別行政法人になっているケースがほとんどだと思いますが、県立高校などは県に寄付している扱い(ふるさと納税と同様の扱い)になる場合にもありますから注意が必要です。

また、大学への寄付金については「学校の入学に関してするもの、寄附をした人に特別の利益が及ぶと認められるものなどは、特定寄附金に該当しません。」とありますので、ご注意ください。入学した年に行う寄付については特に厳しくみられるようです。

所得控除である寄付金控除と、税額控除のいずれか有利なほうを選択することになります。所得控除については所得に応じて税率が違います(5%~45%)から、税率が高い人ほど節税になります。一方で税額控除は一律40%ですから足切りにかからない限り所得の大小にかかわらず効果は同じです。したがって、所得が大きい人(税率45%の高額所得者)以外は基本的には40%の税額控除のほうが有利となります。

寄付金控除については医療費控除と同様に年末調整では受けることができません。必ず確定申告が必要となります。

住民税は自治体によって取り扱いが異なる

ここまでは所得税の取り扱いになりますが、住民税でも控除ができる場合があります。

これは自治体によって異なりますが、キャンパスのある自治体は控除対象にしているケースが多いようです。

ちなみに慶応義塾大学に寄付したときに控除対象になる自治体は大学HPで確認できます。

慶應義塾は、教育・研究・医療活動のさらなる充実のために皆様のご芳志を有効に活用しています

また、神奈川県や横浜市などは条例で指定している公益法人のリストをHPで公開しています。

先日も東京地方税理士会で行っている無料相談会に相談員として参加してきたときに、ユニセフや国境なき医師団へ寄付をしている相談者の方がいました。

昨年の申告書を確認してみると両方とも横浜市と神奈川県の指定寄付金として前年は控除をしていました。ただ、リストで調べてみるとユニセフは市と県の両方とも対象ですが、国境なき医師団については両方とも対象外でした。ちゃんと確認をしないとこういうミスもあるということです。

横浜市条例指定寄付金

神奈川県条例指定寄付金

住民税の寄付金控除の記載の仕方

確定申告書では第2表の条例指定分という箇所に、指定を受けている自治体ごとに記載することになります。住民税の控除ですが、所得税の確定申告にかかないといけません。当然、国税、都道府県、市区町村の3か所それぞれ別の金額になることもありえるとういうことです。

第二表 寄付金控除の記入例の図