相続税がかかるかどうかの判断は要注意

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ホームページなどを見て、面談をさせていただいた方で相続税はかかるかどうかの相談を受けることがあります。

相続税の試算では、固定資産税の納税通知書、預金通帳、生命保険金など亡くなった方の財産がわかる資料をお持ちいただいて確認をさせていただきます。

そのときに聞かれるのはもちろん、こういうこと。

「この場合、相続税はかかりますか?」

答えは、

「わかりません」です。

相続税がかかるかどうかを聞きにきているのに、そんな答えでいいのか…という気もしますが、これは本当にわからないというのが答えです。

当然、明らかに相続税がでない人というのも確かにいらっしゃいます。

持家ではなく借家で、預金などもほとんどなければかからないでしょう。

持家の場合も、今は路線価がインターネットで調べられますから、路線価に面積をかけて土地の評価をだし、建物は固定資産税の納税通知書に評価額は記載されていますからわかります。

でも、これだけではないのです。

表に出ない財産があるかもしれません。

その主な例は、「名義財産」です。

名義財産というのは、税務に特有の考え方になるのですが、本当は亡くなった方の財産のはずなのに名義がほかの家族の名義になっているようなものです。

例えば、ご主人が一部上場企業の部長さんまで勤めて退職して退職金もそれなりに受け取っているケースで、ご主人名義の財産が500万円、一方で専業主婦の奥様名義の財産が5000万円だったらどうでしょう?

もちろん、奥様がご自身の父親からの相続で受け取ったお金なのかもしれません。

でもそういった特殊事情がなければ、名義財産(実質はご主人の財産)という認定になる可能性が多いのです。

単に表面的な財産だけを考えると確かに相続税はかからないでしょう。

でも、きちんと調べないとわからないというのが専門家としての答えです。

税務署に提出する添付書類には「被相続人の略歴」というのがあります。

・どこの出身か?

・最終学歴は何か?

・住所の変更歴は?

・職歴は?

・死因や入院歴は?

なぜこういった内容を税務署に提出しなければならないのかというと、それがまさに被相続人はいったいどれだけ稼ぐ力があったのか、そして亡くなる前の財産の管理はどうしていたのか…ということを把握するためです。

もうひとつ、添付書類として「相続関係図」というものもあります。

これは戸籍謄本から作るのですが、家族関係を一覧にしたものです。

相続人だけではなく孫の代まで書く欄があります。

すなわち孫の名義の財産まで把握するということだと思います。

表面的な財産で判断することは簡単です。

でも、税務当局はきちんと調べます。

安易に相続税がかかる、かからないという判断は危険です。

また、名義財産とされないような生前対策も重要となるのです。