成年後見人の確定申告の留意点-誰がどうやって申告するの?

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成年被後見人の確定申告

当社では弁護士さんとも提携しており、弁護士さん経由で成年被後見人の方の確定申告の依頼を受けることがあります。

成年後見ですから、法律行為は後見人の名前で行うことになります。

成年被後見人の確定申告といっても基本的には通常の確定申告と計算は同じです。

必要な資料については本人ではなく、後見人から受け取り、後見人の名前で申告することになります。

成年後見の確定申告の注意点

ただ、成年後見のケースで注意が必要なケースが2つあります。

障害者控除の適用

一つは、成年被後見人は「特別障害者控除」を適用可能であることです。

特別障害者は身体障害者は1級、2級の認定があるケース、精神障害は1級障害のケースといわれていますので、成年後見は該当しないことになります。

これに対して国税庁では一つの見解を出しています。

名古屋国税局と東京国税局でも文書回答をしていますが、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当するとしています。

つまり、特別障害者としての所得控除が可能ということになっています。

納税管理人の手続きを行う

次に申告にあたっての代理権についてです。

成年後見人は、未成年者の保護者と同じように当然に代理権を持つと思われますが、税務上の手続きでは特に何らの手当てもされていません。

もちろん、成年後見人の名前で提出すれば当然に受け付けてくれますが、納税の手続き上の書類は本人のところに郵送されてしまうようです。

それは、所得税の申告書を受け取る部署と、連絡用の書類を発送する部署が違うので、大元のデータを管理する部署、管理部門に伝えないと成年後見人がついているということにならないようです。

税務署と何度かやりとりをしましたが、最初は手続きの都度成年被後見人であることをアピールして提出してくださいということでした。

その後、制度が定着してくるにつれて「納税管理人」の手続きで代用するという形になっています。

納税管理人というのは、転勤などで海外に出国する場合に国内に残る親族などが国内の納税手続きを代理する人を決めておくという制度です。

したがって本当は全く違う制度なのですが、これを使ってくださいということになっています。

日税連のHPでもそういうことになっています。

この手続きをしておくことによって確定申告の案内や納税の通知などが成年後見人あてに届くことになります。

高齢社会ゆえに必要な制度といえますが、家族がいないとか、疎遠になっているケースも多くなっています。税務上の手続きも高齢化に対応したものになっていかないといけないと感じることが増えているように感じます。

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