働き方改革?税制改正で所得税の基礎控除が10万円増加して48万円に!

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働き方改革に向けた所得税の改正

今となっては財務省も厚労省も不祥事がでてちょっとまずい状況で働き方改革どころではないのですが、3月くらいは働き方改革なんて言葉が頻繁にでていたと思います。

今回の所得税の改革はこの働き方改革を目指す、という形になりますが、基本的にはフリーランスや事業所得の人を少し優遇しましょう、というものです。

税制改正大綱ではこんな風に書いていました。「働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しを行う」という感じです。

基礎控除が10万円増加して48万円へ

全体像としては、誰でも恩恵を受ける基礎控除を10万円ふやして、その分を他のところで調整していこうという形になります。

給与所得者は給与所得控除、年金所得者は公的年金等控除からそれぞれ10万円削減するというのがベースになりますが、給与と年金の両方ある方はダブルで削減されますので、調整しましょう、という手当もされます。

基礎控除についてはさらに所得制限が設けられます。今回、いろいろ所得制限がでてきますが、ここの所得制限は、合計所得金額2400万円以下は制限なしで48万円の控除、2400万円を超えると32万円、16万円を削減され、2500万円超でゼロで消失になります。基礎控除や人的控除については税率の高い人が優遇されるため税額控除への変更も検討されていたようですが、昨年の配偶者控除に引き続き今回は所得制限による削減と消失という形での改正となりました。

所得制限は合計所得金額で判定される

合計所得金額という言葉が今回、結構でてきますが、どの金額か…というところがあります。

所得というのも計算過程のどの段階…というところで呼び方が決まっています。

まず所得区分が10種類ありますし、総所得金額等とか、課税所得金額とか、課税標準とか…いろいろ呼び方が決まっています。

この合計所得金額というのは10種類の各種所得の金額を足して損益通算した後で、損失の繰り越し控除前の金額をいいます。

申告書に記載されているものだけですので、株の譲渡や退職金など申告分離課税のものは含みますが、申告不要としたものは含みません。

人的控除とか、住宅ローン控除など所得制限があるものではこの合計所得金額が判定で使われます。逆に物的控除である医療費控除や寄付金控除などの判定では繰越控除後の総所得金額で判定したりもしますので、わかりづらいところだと思います。

改正は平成32年から…

適用開始は32年の所得税からですので、再来年ですね。平成32年というのはもうないかもしれませんが、今回の税制改正では平成で統一されています。住民税は実際には32年の所得に対してですが、呼び方として1年ずれますので33年度となります。住民税になると年度となります。

基礎控除と引き換えに給与所得控除額が見直しされる

給与所得控除額では見直しが2つあります。一つが、給与所得控除が一律で10万円ひきさげになること、もう一つが上限が195万円になることです。

この結果、最低控除額が現行の65万円から55万円になりますが、基礎控除や扶養親族の判定が48万円になりますので、アルバイトなど給与103万円以下で所得税が0円、扶養親族になるというのは変わりありません。65万+38万=103万というのが55万+48万=103万円という形になります。

上限をどこで切るか、というのも年末の税制改正の争点でしたが、800万か850万円かというところで最終的には850万円で上限195万円となりました。

昔は上限なしで5%が必ず控除できましたので、給与収入が多い人ほど今は増税になっています。医療法人など法人成りを提案するときは法人税と所得税の税率差とともに、給与所得控除での節税メリットを伝えていましたが、最近ではこういった法人なりのメリットも多少薄れています。

また、子育て、介護世帯には負担増減なし、右下のいずれかに該当する人は負担増減がないような手当てがされます。もともとの上限の1000万円以下の部分については10%の控除を所得金額調整控除という形で別途調整することになります。

基礎控除と引き換えに公的年金等控除額が見直しされる

公的年金等控除額についても給与と同様に基本は10万円ずつの削減と、上限が設けられることになります。給与と異なる点が年金以外の所得によって10万円、20万円、30万円と3段階で削減幅が変わるところになります。年金以外の所得が1000万円超なら20万円、2000万円超なら30万円の削減となります。

年金のほかに給与、役員報酬や不動産収入などが多額になる人は、少し削減幅が大きいという形です。

実務的にはパソコンで処理なので特に問題ないですが、扶養者の確認や登録が漏れていないかどうかが一番大事で、パソコン使わない場合、手書きの場合は結構大変なのかな、と思います。

青色申告特別控除も原則は10万円引き下げ

青色申告特別控除というのは不動産、事業、山林所得を青色申告していれば特典として控除できるというもので、通常は10万円控除ですが、複式簿記で経理をして貸借対照表も埋めて申告すれば65万円控除というものです。

不動産所得についてはいわゆる5棟10室の事業的規模というのが65万円控除の条件になっています。

この65万円控除についても他とのバランスで10万円が削減されますが、電子帳簿保存法による電子帳簿の作成か、もしくは電子申告をすることで10万円が追加されますから通常は電子申告をして65万円控除になるのかな、と思っています。