秋から年内は税務調査の季節です。相続税の税務調査の流れと対応のポイントを公開!

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秋は税務調査のシーズンです。

7月に税務署の異動があり、相続税ではその後確定申告時期に入るまでの期間にかけて税務調査が集中的に行われます。

だいたい前年か、前々年に申告したものが今年税務調査というのが流れでしょうか。

税務調査の事前の打合せなどで相続人の方にお話する内容を紹介します。

本当は準備などせず、ありのままで調査に来てもらうべきだと思いますが、相続人の方も不安に思っているため、こういった事前の打ち合わせなども行っています。

税務調査当日の標準的な流れとスケジュール

税務調査は10:00~16:00の予定で行われます。

9時から17時と思いきや、移動時間もあるのかだいたい10時から16時というケースが多いようです。

  1. 調査官の来訪と身分証明書等の提示
  2. 世間話を交えた質問で申告漏れ財産の有無等を確認
  3. 申告書の内容を踏まえて徐々に本格的な財産の確認に移行
  4. 昼食のための休憩
  5. 相続人名義の貸金庫がある場合には金融機関に同行して確認することがあります

※昼食休憩は12時~13時が多く、税務調査官は外出して昼食をとります(出前等は不要)。
※珈琲やお茶、お茶菓子程度を調査官にだすのは問題ありません。
※覚えていないことやわからないことは「覚えていません」「わかりません」、などとありのまま回答してください。当日結論を出す必要はないので「調べておきます」でも結構です。

税務調査で確認されること・・一般的に聞かれることが多い項目

《被相続人・相続人に関すること-世間話を交えて聴取されます》

①被相続人の職業、住まいの履歴の確認

②被相続人の生前中の生活スタイルについて確認
・死亡原因、事故死か病死か、療養期間の長さ、意思能力や行為能力の程度
・趣味について(ゴルフ、骨董品、財テク…)
・預貯金の管理は誰が行っていたか
・交友関係について(会社関係、趣味仲間、同級生など)
・生活費の支払い(日々かかる生活費の程度、生活費の支払いは誰が行っていたか)
・子どもや孫に対するお祝い金などの有無

③相続人とその家族の氏名・職業・推定所得の確認

④遺産分割協議の経緯等について確認

《申告漏れ財産や名義財産に関することを中心に確認されます》

①被相続人、同居している親族の預金通帳等の提示と提示のない預金通帳等の追求
(申告しているが通帳がでてこないと隠ぺいの疑念を持たれる/金融機関は調査済)

②預金通帳等の保管場所の確認(保管場所に調査官が同行)
(金庫など重要な書類が他にも保管されている可能性が高いため、疑われるようなものや別居の親族の通帳が近くにないようにしておく)

③金融機関への届出印及び実印の保管場所の確認(保管場所に調査官が同行)
(親族名義の通帳の届出印が混入していないようにしておく)

④印影の確認
(親族名義の通帳の届出印が混入していないか確認される。朱肉をつけないで押印し、乾いていない場合には最近なんのために使ったのか確認をされる)

⑤相続人名義の預金口座の確認と申し出のなかった預金口座の追求、その他に子供又は孫名義などの預貯金がないかの確認
(事前に税務署がリストアップしている口座がでてこないと名義財産を疑われる)

⑥筆跡鑑定のため名前を書かされる
(反面調査時に金融機関での手続き書類などとの筆跡の突合がされる)

⑦香典帳の確認
(付き合いのあった金融機関、取引先が他にないかどうかの確認など)

⑧金融機関のカレンダーや粗品がないかの確認をされる※トイレに行くついでなど
(付き合いのあった金融機関が他にないかどうかの確認など)

⑨金庫の中の確認(金庫まで調査官が同行)
(事前に金庫のなかに疑われるようなものがないかどうかをチェックが必要)

⑩貸金庫の開扉時の記録の確認(開扉の記録が残っていないか確認する)
(外国貨幣、金インゴット、株券などが入っていなかったか、誰がいつ開扉したか)

⑪相続開始直前に多額の出金があるかどうか。亡くなった日現在の現金残高の根拠と管理等の確認(申告時に当社から相続人に確認済の内容を説明)

⑫手帳や日記、アドレス帳の確認(申告もれ財産のヒントがある可能性がある。プライバシーが心配なら拒否もできるが…)

⑬各種税金の納税方法の確認
(共有財産の固定資産税の立替払いをしていないか、相続税はどうやって払ったか)

臨宅での税務調査後の流れ

税務調査は臨宅による調査だけではなく、税務署に戻ってから持ち帰った資料の確認や反面調査と呼ばれる金融機関や役所等の関係機関への確認などが行われます。

その後の細かい内容の照会などは、税務署から税理士宛に行われます。必要に応じて資料等の提示を行いますが、当社で回答できないものについては相続人の皆様にその都度確認をさせていただきます。

通常は、臨宅による調査から税務調査終了まで1カ月~2カ月程度かかります。

税務調査の終盤では、税務署の見解と想定される修正内容についての説明が行われ、修正申告についての協議となります。

税理士が間に入って協議をするケースと、相続人の皆様が税務署に呼び出しを受けて直接協議をするケースがありますが、最終的には相続人の皆様に修正申告に応じるかどうかのご判断をしていただきます。

修正申告について

税務署との協議が終了し、修正申告を行う場合には、相続財産の増加に伴う税額の増差額のみでなく、過少申告加算税や延滞税という追加税額が発生します。

また、修正に基づき相続税が増額となった場合には、全体として課税財産が増えるため、増加した財産を直接相続した相続人だけでなく、すべての相続人に影響して全員が税額を追加納付することになります。

過少申告加算税や延滞税の税率は、下記の通りです。

①過少申告加算税…増差税額の10%
(ただし、期限内申告税額相当額又は50万円のいずれか多い金額を超える部分の税額(加重対象税額)は、上記10%のほか、更に5%

②延滞税…当初の申告期限(又は修正申告書の提出)から2ヶ月以内が「特定基準割合(注)+1%」と年「7.3%」のいずれか低い割合ですが、2ヶ月を経過した日以降は「特定基準割合(注)+7.3%」と年「14.6%」のいずれか低い割合となります。
※当初の申告期限から1年超の場合には免除期間があります。

(注)各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合

また、仮装・隠ぺい行為があったとした場合には、増差税額の35%の重加算税が課税されます(配偶者の税額軽減の適用対象からも除外されます)。