そろそろ年末調整の時期が近づいていますが、この時期にお客様のところに伺うと、「パートの人の取り扱いが変わるのよね~」なんて言われますが、変わるのは本当は来年からで、今年は今まで通りです。しかも影響するのはパートの人じゃなくて、ご主人の税金だから・・・・
103万円以下の方は控除対象配偶者で、配偶者特別控除は今まで通りの基準です。
年末調整は当社ではこんな感じに行っていますが、来年の改正の内容も少し影響してきます。
10月から控除証明書などが届き始める
年末調整というと12月というイメージがあるかもしれませんが、会計事務所としては実際には10月、11月からスタートしています。
10月くらいから保険会社から控除証明書、住宅ローンを組んでいる銀行からはローン残高の証明書が届き始めます。
後で困らないようにまとめておこう・・・なんて思ってまとめたままどこかにやっちゃって、、という方もいますが、年末調整に必要な書類は一つにまとめておくと後で便利です。
当社では11月に用紙を配布します。
当社では10月の終わりから11月くらいに年末調整用の書類をお客様に配布しており、なるべく11月か12月の早い時期に回収する流れをとっています。
国税庁からはこの時期に1年分の源泉所得税の納付書と手引きが送付されてきます。
今回書いていただくのは29年分の保険料控除等申告書と、30年分の扶養控除等申告書です。
29年分の保険料控除等申告書は年末調整のために必要ですが、30年分の扶養控除等申告書は実は来年1月以降の給与計算で使う書類です。これが今回書式が変わっています。
※年末調整関係の用紙は国税庁のホームページからダウンロードできます。
配偶者控除、配偶者特別控除が変わります
平成29年度の税制改正で配偶者控除と配偶者特別控除の見直しが行われます。
適用は30年分の所得税からになるため、来年から適用開始となります。
勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、今年の年末調整や確定申告では影響がありません。
パートで働いている方たちの働き方が変わるかもしれないのは来年からとなります。
サラリーマン家庭でご主人が主に働いて、奥様が週3回くらいのパートで働いている場合には影響があるのはご主人の税金です。
パートで働いている奥様の税金計算は改正の影響はありません。
ご主人の所得と、奥様のパート収入の2つの要素で、ご主人の給与所得から控除される金額が変わってくるという改正なので、あくまでもご主人の税金計算への影響です。
給与計算では1月分の支給から影響あり!
最終的にはご主人の手取りと来年の年末調整や確定申告の計算が変わってくるのですが、経理部や人事部など給与計算を行っている部署では来年の1月の給与計算から影響がでてきます。
毎月の給与計算では扶養親族等の数によって源泉所得税をいくら天引きするかが変わってきます。
平成29年までの給与計算での配偶者(扶養者)のカウント方法
平成29年までは配偶者は給与収入が103万円以下の「控除対象配偶者」に該当すれば1とカウントしていました。
配偶者特別控除は年末調整で調整が行われ、月々の天引き計算でカウントしないのが29年までの計算です。
平成30年以降の給与計算での配偶者(扶養者)のカウント方法
平成30年分の扶養控除等申告書では今まで控除対象配偶者の記載があった箇所が、「源泉控除対象配偶者」となりました。
新しい用語がでてきました。源泉控除対象配偶者に該当すれば1のカウントとなります。
源泉控除対象配偶者とは?
源泉控除対象配偶者とは、所得者(年間の所得の見積額が900万円以下の人に限る)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く)で、平成30年以下の所得の見積額が85万円以下のをいいます。
あくまでもこれは毎月の給与計算で扶養の数をカウントするためだけの判定です。
年末調整で精算するからとりあえずこの辺の基準で1カウントにしようという感じの切り方です。
源泉控除対象配偶者の条件は二つあります
次の二つの両方に該当することが条件です
- 給与所得者(夫)本人の所得が900万円以下(給与年収では1120万円以下)であること
- パートをしている配偶者(妻)の所得が85万円以下(給与年収では150万円以下)であること
給与計算では見積りが絡んできますが、あくまでも年初の段階での見積もりですから、最終的にオーバーしてしまったらもちろん、年末調整や確定申告で精算が必要となります。
該当するかどうかは、あくまでも給与所得者である夫の会社に提出する扶養控除等申告書に記載する必要があります。
覚えないといけない配偶者の呼び方は4つ!
今回、源泉控除対象配偶者という用語がでてきましたが、用語としては4つ抑えないといけません。源泉対象配偶者のほかに3つあります。
同一生計配偶者
ここでの条件は1つです。平成29年までの控除対象配偶者の条件でしたが、配偶者控除の条件がかわってしまったのでこのような呼び方になっています。
- パートをしている配偶者(妻)の所得が38万円以下(給与年収では103万円以下)であること
配偶者控除の適用の有無にかかわらず、扶養対象者であるため障害者控除などの適用要件を満たせば扶養親族として障害者控除の適用が受けられます。人的控除として扶養親族の要件が絡むものは同一生計配偶者に該当することが必要になります。
控除対象配偶者
配偶者控除の適用対象者ですが、同一生計配偶者のうちご主人の合計所得金額が1000万円以下の場合に該当します。
したがって次の2つの条件を満たすと、控除対象配偶者となります。
平成29年までの基準にご主人の所得要件が加わりました。
- 給与所得者(夫)本人の所得が1000万円以下(給与年収では1220万円以下)であること
- パートをしている配偶者(妻)の所得が38万円以下(給与年収では103万円以下)であること
配偶者特別控除の対象者
配偶者控除の適用は受けられませんが、段階的に配偶者特別控除の適用を受けられるケースです。配偶者特別控除の金額は給与所得者(夫)の所得と、パートをしている配偶者(妻)の所得の組合せで金額が決まります。
対象となるのは次のようなケースです。
- 給与所得者(夫)本人の所得が1000万円以下(給与年収では1220万円以下)であること
- パートをしている配偶者(妻)の所得が38万円超123万円以下(給与年収では103万円超2,015,999円以下)であること
詳細を知りたい方は国税庁のホームページへ
国税庁ホームページのパンフレットがわかりやすいと思います。
会社側の担当者向けと、給与所得者向けの2種類あります。