名義財産の調べ方
相続税の調査で税務署から指摘を受ける項目として、名義財産があげられます。
名義は子供や孫になっていますが、実質的な財産の所有者は亡くなったおじいちゃんとか、おばあちゃんといわれてしまうケースです。
相続税の申告にあたって、税理士法人横浜パートナーズでは名義財産の確認を行っています。
具体的には預金通帳の過去の精査です。
税務署は5年から10年くらいを金融機関に調査にでかけて調べるといわれていますから、我々も同じくらいの期間の預金の動きを精査します。
もちろん財産の規模や家族構成によっては簡単に済ませることもあります。
基礎控除ぎりぎりの財産で、内訳も自宅不動産がほとんど…というような場合には、直近の通帳だけをみせていただいて、おかしな動きがなければ深入りしないということもあります。
逆に地主さんなどの土地持ちの資産家や、ドクターや会社の重役などのキャッシュリッチな資産家の方については細かく出入りをチェックします。
金額でいうと50万円以上の出入りです。
他の通帳に移動しているものや、生活費として費消した部分については問題ありません。
一方で、どこにいったかわからないものというのもあります。
例えばこんな名義財産
亡くなる1年くらい前に毎日のように50万円ずつ引き出しているケースもあります。
もちろん不正をするつもりはないのでしょうが、内容を聞いてみると、、知り合いの相続税に詳しい人に対策として勧められた~なんていうこともあります。
これをそのまま申告をすると、脱税とまでは言われないかもしれませんが、仮装隠ぺいという扱いを受けて多額の罰金を払うことにもつながります。
タンス預金にしておけば大丈夫…ということもありません。
税務署は、預金の動きを直接金融機関に問い合わせを行いますから、調べようと思えば調べられます。
ご主人の通帳から引出した日に同額が奥様の通帳に入っていた…なんて税務署から言われることもあります。
また、収入に見合わないような預金をもっている家族や親族がいるケースもあります。
家族や親族名義の預金は、当社では意味あいをお伝えして自己申告で見せていただくようにお願いしています。
税務署は調査権がありますから、関係なく金融機関に問い合わせをしていると思った方がいいと思います。
贈与の事実が証明できないケースや、贈与税の申告もしていないようなケースでは、移転元であるおじいちゃんやおばあちゃんの相続財産として相続税の対象となる可能性が高いといえます。
名義財産は全て申告が必要なのか
もちろん、親族名義の全ての財産が名義財産であるとも思っていません。
あくまでの税務署的な見解や過去の裁判や裁決例をお伝えして、相続人の皆様と取り扱いを協議することになります。
贈与済という判断になることもありますし、相続人自身の給料や年金などを使わずに貯蓄していたらこの程度は問題ないという判断になることもあります。
一方で、自分は一切知らなかったから全て相続税の対象でいいという判断をする相続人の方もいます。
死人に口なし、、なんて言葉がありますが、良きにつけ悪きにして、張本人が既にいないというのが一番の特徴なのです。
その中で正解という白黒がはっきりしたものは正直ありません。
最終的には税務署、相続人、さらに我々税理士も3者がそれぞれ納得できる落としどころが正解かのかもしれない、、と最近思っています。