特別縁故者に相続税がかかるのか?相続財産法人、相続財産管理人の税務手続きとは・・・

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亡くなった方に妻子や兄弟姉妹などがなく、遺言なども残されていない場合には相続人がいない、財産を引き継ぐ人がいない状態になります。

このような場合には国庫に行ってしまう、、となんとなく多くの方は理解していると思います。そのため、なるべくこのような状況を避けるためにお世話になった方や相続人ではないけど近い親族がいる場合には遺言を残しておくなどの対策が必要となります。

ただ、すんなりと国庫にいってしまうわけではなく、特別縁故者とよばれる内縁の奥さんや介護や身の回りの世話をした方がいれば、財産をもらえるように申請することができます。

相続人がいない場合、相続人が明確ではない場合や相続財産放棄などが起こった場合には相続財産が法人化する事となります。この法人を相続財産法人とよび、相続財産は相続財産管理人が管理することになります。相続財産管理人が相続財産を管理している間、相続人を捜索する事となります。相続人の公告を出しても相続人がいない場合は、被相続人の特別縁故者が家庭裁判所に申し立てをして財産の全てまたは一部を取得することができます。

相続財産管理人に就任して、特別縁故者に財産を分与する手続き中ですが、その財産(不動産)に賃借人がいて家賃収入がある場合もあります。このような場合、特別縁故者には税金がかかるのでしょうか?

特別縁故者に相続税がかかるのか?

相続税では特別縁故者については贈与とみなすのではなく、遺贈とみなすようです。
遺贈の場合には相続税の対象となりますが、この場合には通常の相続税の計算や申告期限と少し異なるようです。

相続開始の日は、被相続人が亡くなった日ですので、ここは通常の相続税と同じです。亡くなった日の税法が適用されますから、基礎控除など改正があったとしても例えば平成26年に亡くなって29年に財産分与の手続きがされたとしても平成26年の基礎控除、5000万円が適用されます。ちなみに法定相続人が当初からいなければ5000万円がそのまま基礎控除となります。

財産の評価時期は通常の相続税と異なります。亡くなった日現在ではなく、あくまでも財産の分与を受けた日現在となるようです。先ほどの例でいうと平成29年の路線価で土地の評価をすることになります。

申告期限は、審判が下りた日、遺産の分与を受けることができることを知った日の翌日から10カ月以内となります。

債務控除はできませんが、葬式費用や債務を負担していた場合にはプラスの財産と相殺していいことになります。

また、1親等の血族ではないので相続税額の2割加算があり、生前贈与加算なども普通に適用されます。

このように通常の相続の計算と同じように取り扱うもの、ちょっと異なる取り扱いになるものがありますので、税理士や税務署に必ず相談して申告手続きをすることをお勧めします。

相続発生からの果実(家賃)への課税

所得税では相続税と違って遺贈とはみなさずに、審判等で財産の分与を受けたときの時価で取得したと考えます。

したがって相続人がいない場合には財産分与がされるまでは、相続財産法人に果実が帰属すると考えるのが自然です。

家賃については相続財産法人の収入になるとして、法人税の申告が必要なのか?という疑問が生じます。

インターネットなどでは普通法人となるため申告が必要というような記述もあったのですが…

基本的には国税庁も納税義務を課すことを前提としていないようです。

つまり、申告しなくても問題にならないと、思われます。

※この部分については未確認です。ただ、タインズの裁決例や裁判例でも法人税については該当がなかったので、どうせ残りは国庫にいくし、あまり問題視していないのではないかと思われます。

また、被相続人の準確定申告については国税庁のホームページに記載がありますのでご参考まで。

もらった不動産を売却したとき

特別縁故者がもらった不動産を売却したときには譲渡所得税の計算になります。

通常の相続で取得した場合には、被相続人の取得時期と取得価額を引き継ぐのですが、ここも少し異なります。

特別縁故者が財産をもらったときの時価(通常の取引価額)で取得したものとして譲渡所得の計算を行います。

また、財産分与を受けたときから、売却するまでの間の家賃については当然、特別縁故者の不動産所得となりますのでご注意ください。