自社株評価の見直しは平成29年1月1日以降
優良企業の事業承継を考えるうえで乗り越えないといけないハードルとして自社株の評価という問題があります。
経営や肩書だけを引き継いでも会社の株式を後継者に引き継がないと事業承継は終わらないといえます。
社長がもっている自社の株式ということで、税理士などの専門家は自社株と言っていますが、税務上の正式な呼び方としては「取引相場のない株式」となります。
上場企業などは東証とか株式市場で相場がでますから取引相場のある株式、非上場の会社は一般的には取引相場のない株式といわれます。
この取引相場のない株式の評価方法が平成29年1月1日以後の相続や贈与等で取得した財産の評価から見直されます。
類似業種比準価額方式の見直し
自社株については類似業種比準方式と純資産方式、配当還元方式といった方法で評価を行います。
通常は時価純資産をベースにした純資産方式と、同業の上場会社の株価をベースにした類似業種比準方式をミックスして計算をしていきます。
このミックスの場合の混合割合、いわゆる折衷割合は会社の規模によって異なってきますが、類似業種比準価額については一定の方法で算出することになります。
※出典:経済産業省HP
今回改正で見直されたのは次の3点です
類似業種株価(A)について2年間平均を選択可能に
国税庁HPで公表される基礎データの中で、類似業種の株価があります。
その株価は亡くなった日現在の株価ではなく、過去3ヵ月の株価、前年の平均株価の4つから一番低いものを従来は選択できました。
これに2年間の平均株価が加わりますので、5つから一番低いものを選択できることになり、アベノミクス時のような株価の急な増加の影響が緩やかになります。
比準要素C,Dについて連結会計上の数字に見直し
これも国税庁が発表する数字なのですが、グローバル企業やグループ経営を考慮した変更のようです。
比準要素BCDのウエイトを1:1:1に見直し
改正前は利益3倍のウエイトでしたが、配当・利益・簿価純資産のウエイトを同じにし、分母は3にかわります。
成長企業、好業績企業の負担を軽減しますが、歴史のある企業で会社所有の資産などを多く所有している場合には不利な影響になるかもしれません
評価会社の規模区分の見直し
併用方式で計算する場合については、折衷割合を会社の規模で判断します。
規模の大きな会社のほうがより上場企業に近く、規模の小さな会社のほうがより個人経営に近いという意図で、大会社は類似業種比準価額100%で計算し、中会社、小会社になるにつれてさがっていきます。
小会社では0.5ということで、ハーフハーフでの評価となります。
この場合でも純資産価額のほうが類似業種比準価額よりも小さい場合には100%純資産価額を使ってもいいこととされています。
今回の改正では、この規模の区分を変更して、今までよりも大きな会社に判定されるような基準にかわるようです。
時価純資産(含み益)が大きい会社に有利になりますが、一般的には純資産価額のほうが類業種比準価額よりも大きくなる会社が多いため、全体的に有利な改正といえそうです。
事業承継税制も少し使いやすく進化
自社株の引継ぎとの関連で、事業承継税制というテーマがあります。
基本的には「納税猶予」という考えで、一定の要件を満たして、条件を引き続き継続してくれるなら自社株に関する相続税や贈与税を猶予、免除してもらえるという制度です。
この条件の一つに雇用継続というものがあります。
当初の従業員数の8割を下回ると遡って税金もらいます!という話です。
この8割の基準が切りあげから切り捨て方式に変更されました。
5人の8割は4人ですが、2人の8割は1.6人で1人の換算になります。
つまり、一人でも辞めると適用がはずれるということになっていました。
今回の改正で切り捨てになりましたので、1.6人は切り捨てで1人の扱いになります。
そのため1人いれば大丈夫ということにかわりました。
また、贈与税の納税猶予では、相続時精算課税との組み合わせが可能となりした。
相続時精算課税を選択している場合には、納税猶予が取り消されても多額の贈与税が課税されるのではなく、相続時に精算される方法でも適用が可能となっています。
事業承継税制もさんざん使いずらい、リスクが高い、、と言われてきましたが、いよいよ使える制度になってきているといえそうです。