未収家賃と相続税、準確定申告の関係はどうなる?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

亡くなった後の確定申告は4カ月以内に

アパート経営をしている方が亡くなると所得税の申告(準確定申告)と相続税の申告が必要となります。

葬儀、納骨から四十九日と法事や各種手続きが続きます。

亡くなって4カ月なんてあっという間だと思いますが、待ったなしでやってきます

家賃の計上時期は所得税と相続税で基準が異なる

でもいつまでの家賃を計上するか、実は所得税と相続税とでは微妙に異なっています。

所得税での未収金計上の基準

所得税の準確定申告では原則は権利確定主義となります。

一般的な賃貸借契約書では前家賃として「当月分の家賃を前月末までに支払うこと」というような文言が契約書に記載されていると思います。

支払期限到来基準と言われていますが、前月末日に翌月分の収入が確定することになります。

4月24日に亡くなった場合には3月31日に支払期限が到来するから4月分の収入は全額計上することになります。

逆に5月分を例えば4月23日に受け取った場合などは入金していても収入計上しなくてもよいことになります。

ただし例外的に期間対応による方法も認められます。

それは帳簿を付けて未収前受処理をしている場合に認められる例外的なやり方ですが、企業会計と同じように4月分は4月の売上、5月分を5月の売り上げとなり原則として月初に当月分を収入計上することになります。

これが所得税のお話で、相続税ではこの例外的なやり方は認めていません。

相続税での未収金計上の基準

財産評価基本通達に下記ような取り決めがあります。

(未収法定果実の評価)
208 課税時期において既に収入すべき期限が到来しているもので同時期においてまだ収入していない地代、家賃その他の賃貸料、貸付金の利息等の法定果実の価額は、その収入すべき法定果実の金額によって評価する。

あくまでも期間対応ではなく、収入すべき時期で判断することになりますから、収入すべき時期は権利確定時期(支払約定日)となり、前家賃の場合には前月末となります。

つまり所得税の準確定申告で未収家賃として貸借対照表として記載した金額と相続税の未収家賃の金額が異なるケースもあります。

所得税の収入計上時期をどちらの方法を採用しているかに限らず、相続財産として課税価格している金額は変わらないことに注意が必要です。

また、この場合の日割りの取り扱いについて国税庁のホームページに質疑応答がでています。

簡単にいうと相続税の計算では、日割計上の必要なしということでよいそうです。

支払期日未到来の既経過家賃と相続財産

【照会要旨】
アパートの賃貸を業務としている者が本年4月24日に死亡しました。
賃貸借契約において、そのアパートの賃貸料の支払期日は、毎月の末日とする旨が明定されており、その契約に従って賃貸料が支払われてきました。未収家賃はありません。
この場合、4月分の家賃は、4月30日に相続人が収受しましたが、その家賃のうち4月1日から24日までの期間に対応する既経過分の家賃については、相続税の課税価格に算入して申告する必要がありますか。

【回答要旨】
死亡した日においてその月の家賃の支払期日が到来していない場合は、既経過分の家賃相当額を相続税の課税価格に算入しなくて差し支えありません。