土地が縄伸びしている場合の相続税の計算

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

土地の評価は路線価×面積

相続税における土地の評価は基本的には「路線価×土地の面積」で計算をします。
土地の面積が相続税での土地の評価のベースになります。
それでは正確な土地の面積は何をみればわかるでしょうか?
登記簿謄本をみれば土地の地積、つまり面積が記載されています。
固定資産税などもこの登記簿謄本の面積をもとに計算されていますから、一応は正しいと思われる面積は登記簿謄本をみればわかると考えられます。

昔からの土地は登記簿の面積が正しくないことも

ただ、この登記簿謄本の面積、盲目的に信じるわけにはいきません。
なぜなら間違っていること、本当はちゃんと測量していないことが多いからです。
むかしむかしのそのまた昔は年貢の支払いは土地の面積が基準になっていたようで、年貢をごまかすために実際の面積をよりも少ない面積で申請していたということもあったようです。
もちろん、測量技術も今とは異なり、正確ではなかったのでしょう。
そのため従来から存在していた土地で分筆などがなければ間違ったままの登記になっていることが多いのです。

さらに数年前までは一筆を複数の筆に分割する分筆の登記については分筆後の切り離す土地のみ測量すればいいという取り扱いになっていました。
そのため分筆後の土地は正しい半面で、元の番号の土地に誤差が集約されるということも多いです。
結果的に●●番2号や●●番3号…は正しくても、●●番1号は実際の土地の面積と異なることが多いことになります。

実際の面積が登記の面積よりも大きいことを縄伸び、小さいことを縄縮みといいます。

相続税申告 税務署は見ている!

それでは縄伸びがあった場合、相続税の計算はどうすればいいでしょうか?

財産評価基本通達では、土地の地積は「実際の面積」によることとされています。
ただし、全ての土地について、実測によることまでは要求されていません。

国税庁HP、質疑応答事例には次のように記載されています。

『土地の地積を「実際の地積」によることとしているのは、台帳地積と実際地積とが異なるものについて、実際地積によることとする基本的な考え方を打ち出したものです。
したがって、全ての土地について、実測を要求しているのではありません。
実務上の取扱いとしては、特に縄延の多い山林等について、立木に関する実地調査の実施、航空写真による地積の測定、その地域における平均的な縄延割合の適用等の方法によって、実際地積を把握することとし、それらの方法によってもその把握ができないもので、台帳地積によることが他の土地との評価の均衡を著しく失すると認められるものについては、実測を行うこととなります。』

そうはいっても税務調査で指摘を受けるのではないのか?と思う方も多いと思います。
確かに税務調査で問題になることもあります。
それはどういったケースでしょうか?

  • 航空写真等から図面をおこしてみると、面積が登記簿の面積よりも大きいことが明らか
  • 相続後その土地を売却しており、そのときに実測で測量して縄伸び分を精算している
  • 相続後その土地を売却しており、その後相手先が転売のために実測して更正登記をしている
  • 土地の評価で利用した実測図が登記簿の面積と相違するなど更正登記はしていないが正確な実測図がすでにある。

実務的にはこう対応する

つまり実務的には相続人がわざわざコストをかけてまで実測する必要はないけど、既に実測図がある場合には実測に基づいて評価をすべきということだと思います。
また、税務調査があるまでの間に確定測量をした場合、更正登記をした場合には正しい面積で修正申告すべきということになります。
登記については当然、税務署も調べているでしょうし、売却した場合には売買契約書等は税務署も入手できると思ったほうがいいと思います。

原則は実測ですが、実測図がない場合には公簿面積でもよいけど、税務署のほうでも調べてますよ…実測面積がわかった場合には速やかにというのが実務的な対応ではないでしょうか。