でも、あとから関わった事案などでは既に共有状態で何年も経過しているようなケースもあります。
1世代だけならなんとかなるかもしれません。兄弟姉妹までであれば、両親がともになくなって空き家になった段階で売却して、残ったお金で分けるという方法もあるかもしれません。
しかし、いとこ同士、はとこ同士になったらそうもいってはいれません。
叔父、甥、叔母、姪…といった関係性も結構な他人です。年長というだけで、自分が管理している気になってしまう伯父さん、叔母さん…実は若者たちからみるとうっとうしいだけなのかもしれません。
相続で共有になるケースだけではなく、夫婦で共有になっているケースもありますね。 夫婦で買ったマンション、共働きだから奥さんの持ち分もいれて住宅ローンも連帯債務にしてということはないでしょうか?
最近の統計では3組に1組は離婚するとかいわれているようです。
離婚した場合、もちろん財産分与という話もあるでしょうが、やはりきちんと不動産の名義も整理しておく必要があるでしょう。
離婚にともなう財産分与は、贈与税はかからないといわれています。
9-8 婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(民法第768条((財産分与))、第771条((協議上の離婚の規定の準用))及び第749条((離婚の規定の準用))参照)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。
もらった側は贈与税がかからないのですが、あげた側については値上がり益について譲渡益課税がされることになります。
相続で共有になったケースでも、夫婦で共有になったケースでも、共有者の中には共有で持っていること自体に負担を感じることがあるでしょう。
もちろん、共有者の誰かに持ち分を売却することも可能でしょう。
でもお金は別にいらない、もらうこともできないが、共有持ち分はいらない…ということもあると思います。
その場合には共有持ち分を贈与するとか、共有持ち分を放棄するということも可能になります。
共有持ち分の贈与でも、共有持ち分の放棄でも、もらった側に贈与税がかかりますが、あげた側には特に税金の申告は必要ありません。
ただ、この二つの行為については、1つだけ異なる取り扱いがあります。
それはもらった人がこの次にこの不動産を売却したときの取り扱いです。
贈与の場合には、贈与した人の購入時期と購入価額を引き継ぐことになります。
譲渡益課税を経ていないため、次に売却したときに最初にこの資産を購入したときまで遡って取得価額の計算をすることになります。
一種の二重課税構造になりますが、そういう取り扱いになるのです。
一方の共有持ち分の放棄は、これとは異なり贈与を受けときの時価で引き継ぐことになります。
不動産の共有は理由があって親子間、夫婦間での共有関係にすることを除いてなるべく早めに解消するほうがいいでしょう。
もちろん、なんらかの税金がかかわることもありますが、親族間でしこりや腫物になって残るよりはいいと思います。