税制改正!実は増税かも?配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

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配偶者控除の見直しはここ数年のテーマ

ここ数年いわれてきた配偶者控除の見直し、平成29年度の税制改正でついに実施されます。

所得税の原則は、個人単位課税ですが、配偶者控除や扶養控除など人的控除といわれる所得控除は世帯単位課税といわれて個人単位課税の例外的な取り扱いとなります。

また、所得控除という制度自体が税率が高い人、つまり金持ちに有利な制度となります。同じ38万円の控除でも税率が15%の人なら5万7千円の税金への影響ですが、税率が55%なら20万円以上の節税となります。

扶養控除については所得控除から、給付への移行ということで年少部分については控除が廃止されていますが、それに続いての所得控除の見直しとなります。

女性の社会進出を促す!に騙されるな

改正の趣旨というか、報道等のイメージは女性の社会進出だったと思いますが、実は増税もねじ込んできているというのが、税理士としての見え方です。

マスコミも同調していましたが、こういう情報操作はどうなのかな…と一日本国民として懸念されますね。

配偶者控除は高収入の人にとって増税になる

今回の改正では一部の報道では、減税効果のみを大きく取り上げているものもありました。誰に言わされていたのかわかりませんが、一部の人にとっては減税ですが、多くの人にとっては増税となるのが正しい理解です。

わかりやすく妻がパートにでて、夫が会社員というケースを想定しましょう。

配偶者控除に夫の所得の上限が加わりました。

所得控除を差し引く前の所得(合計所得金額)が900万円(給与収入だけの人は年収1120万円)から少しずつ削られて、合計所得金額が1000万円(給与収入だけの人は年収1220万円)で完全に控除0となります。

つまり、年収1220万円のご主人の家庭では、奥様が専業主婦であっても控除なしということになります。

先ほどの税率55%の人にとっては20万円以上の増税になるということです。

パート収入150万円までは夫の税金は増えない

女性の社会進出を後押しする意味では、配偶者特別控除の改正が該当します。

配偶者特別控除とはどんな制度

配偶者控除と配偶者特別控除、似ている制度ですが少し異なります。扶養親族と同じで妻の所得が38万円(パート収入103万円)以下であれば控除対象配偶者と属性になります。扶養控除が0でも扶養親族という属性が残るのと同じ扱いです。年少扶養親族も控除は0ですが、寡婦控除など他の特例の要件判定では使われることになります。

控除対象配偶者ではない配偶者、つまりパート収入103万円以上の妻についてはいきなり控除0にするのはまずいのでとりあえず控除額を逓減させていこうという制度が配偶者特別控除です。

改正前であればパート収入103万円を超えると少しずつ夫の税金は増え始めることになります。パート収入141万円でついに控除は0となります。

配偶者特別控除の改正

この配偶者特別控除が平成29年度の税制改正で変わることになります。

従来は103万円を超えると削られ始めていた夫の控除がパート収入150万円までは削られず、150万円を超えると削られ始めて201万円を超えると控除0という基準に変更sれます。

これに先ほどの夫の合計所得金額の基準が加わりますので、マトリクス的に組み合わせて夫の税金計算をすることになります。

改正は平成30年分以後の所得税からとなります。

配偶者特別控除の改正

(出典:財務省)

パート主婦さん本人の税金は変更なし

ここまで見ていただいた通り、改正の影響は夫の税金計算で、パート主婦さん本人の税金計算に一切影響はありません。

今までどおりパート収入が103万円を超えると所得税がかかりますし、100万円を超えると住民税がかかる可能性があります。

また、130万円といわれる社会保険の壁についても考える必要があります。

つまり、今までいわれてきた女性の社会進出を阻んできた100万円、103万円、130万円の壁は依然として残るわけで、今回の改正での影響は限定的ではないか、と考えることができます。