相続税のシミュレーションをしていて感じること
横浜パートナーズでは相続税シミュレーションと相続対策に関するお仕事をやらせていただくことが多いのですが、相続税の試算をしていると必ず考えるのが、ご夫妻の亡くなる順番によって対策が異なるということです。
つまり、ご主人から先に亡くなるのか、奥様から先に亡くなるのか。これって結構重大な話になっています。
一般的には女性のほうが平均寿命が長いですから、ご主人が先に亡くなる前提でシミュレーションを作ります。
相続税の特例をどう使うのか?
もしご主人が先に亡くなるケースでは次のようなものがポイントになります。
・配偶者の税額軽減をどう使うか
・小規模宅地の減額をどう使うか
・二次相続の対策はどうするか
これらは遺産分割の方法によって変わってきます。
二次相続まで考え、さらに残された奥様の老後の生活まで考えて検討する必要があります。
一次相続の段階で有利な特例を使うことがハッピーなのか?という問題が生じます。
小規模宅地の減額特例を有利に使うために奥様ではなく同居している未婚の息子さんがご自宅を相続した場合に将来息子さんが結婚して家を出た場合にはどうなるでしょう?
最初の段階では同居しているから何も問題なかったでしょうが、結婚して別居となると多少話が変わってくるので花でしょうか?
奥様が先に亡くなると税金面では不利になることも
それでは、奥様が先に亡くなるケースはどうでしょう?
残ったご主人の相続税が増加します。
上記の税額軽減は使えません。
配偶者の税額軽減を使って納税を後回しにすることもできませんし、小規模宅地の減額についても配偶者が相続するのと、子供が相続するのでは適用要件が大きく異なります。
そして、相続人の数も減りますから基礎控除も減り、相続税の按分計算も大きくなります。
1次相続より2次相続で揉めるケースが多い!
さらに、両親が亡くなったときに残された兄弟は仲よく遺産分割できるでしょうか…という問題があります。
両親というストッパーが外れた兄妹にとっては、分割で争うリスクが大きくなります。
相続は母親がいるかどうかでその時の状況は大きく異なるのです。
相続税だけなく、分割が難しくなるリスクが大きくなります。
どちらが先に死にますか?
…という問いは、もしかしたらタブーかもしれません。
でも、将来の相続を考える時には避けては通れないことなのです。