アパート建築の注意点と事業収支

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アパート建築時の注意点

相続した土地や遊休資産等について、アパート建築による有効活用は上記で記載したとおり重要なテーマとなります。

しかし、建築業者等が作成する資金計画を信じて着工したとしても思ったような運用効率が得られないというトラブルもあり得ます。

そこで、契約・着工する前に「事業計画」に問題がないか、リスクはないか…などの検討を十分に行う必要があります。

事業計画書を検討するにあたってのチェックすべきポイントは、次のようなものです。

  • 有効活用の手法が、所在地や周りの環境などその土地の性質等にマッチしているか?
  • 事業計画の内容が現実的なものか?
  • プランの作成者である建築業者に都合がよいような建物に対する表面的な利回りだけを記載しただけでなく、土地の価格や必要経費などを考慮した投資運用効率までも考慮して判断されているか?
  • 節税効率のみならず、収益性が十分に期待できる内容か?

事業収支計画(主な収入項目と支出項目)

所得計算と収支計算の違いについてしっかり抑えましょう!

収入項目

「経常収入」

  • 家賃収入、駐車場収入、礼金・更新料、受取管理料

「保証金・敷金償却」

  • 所得計算上、敷金保証金のうち、返還しなくもよりものは、その返還しなくてもよい金額を返還を要しないことが確定した時点で収入に計上します。
  • この保証金、敷金償却は入金の時期と収入計上のタイミングが異なるため資金収支の計算上は考慮しません。

支出項目

「経常支出」

  • 公租公課、火災保険、維持修繕費、支払管理料、支払利息

「減価償却費」

  • 建物などの建築や付随設備の設置などにかかった費用は、支払ったときの経費になるのではなく、一度資産計上し耐用年数に応じて費用化することになります。
  • この減価償却費は、支出を伴わない経費のため税金計算をする上での所得計算では考慮しますが、収支計算上は考慮しないことになります。
  • 減価償却費の計算方法には、毎年定額を償却していく定額法と最初に多額の償却費を計上し、翌年移行は少しずつ償却費が減少していく定率法のいずれかを選択します。ただし、建物については定額法しか選択できません。
  • 不動産運用では毎年安定した運営が可能なため定額法を選択するのが一般的ですが、資金回収を早めることと時間がたつと減価償却費より修繕費がかさむことを考えてあえて定率法によることも問題ありません。

「借入金元本返済額」

  • 借入金の元本返済額は、一度預かったものを返しているだけなので税金計算での必要経費に算入することはできません。しかし、収支計算では含めて計算します。
  • 借入金を返済した残りでいくら残るかが採算性の判断の基準になります。